ロックユニット「B’z」が2020年11月28日(土)、自身初の無観客配信ライブ最終公演『B’z SHOWCASE 2020 -5 ERAS 8820- Day5』を実施。ヒット曲「有頂天」「Still Alive」「兵、走る」や、初のお披露目となった新曲「YES YES YES」など15曲を披露し、全5日間の公演を締めくくりました。
B’z 配信ライブファイナル”Day5”完遂 「無観客ライブは無観客じゃない」感謝の気持ち伝え
B’zは2020年11月28日(土)、自身初となる無観客配信ライブ全5公演の最終日となる『B’z SHOWCASE 2020 -5 ERAS 8820- Day5』をHANEDA INNOVATION CITY内のライブハウス・Zepp Haneda(TOKYO)にて実施。ヒット曲「有頂天」「Still Alive」「兵、走る」や、初のお披露目となった新曲「YES YES YES」など、2011年から2020年の15曲を披露し、全5日間の公演を締めくくりました。
オープニングでは、これまでの4公演と異なり、ステージを覆った大きな幕が開いてから、ライブがスタート。
1曲目に「GO FOR IT, BABY -キオクの山脈-」(50th SG 2012.04.04)、2曲目に「さよなら傷だらけの日々よ」(48th SG 2011.04.13)とヘヴィなテイストのタイアップシングル曲(ともにペプシネックスTVCMタイアップソング)が立て続けに披露され、”Day5”は冒頭から、B’zが「唯一生き残り続けている日本のハードロックバンド」を標榜する所以を示すような、熱量溢れる展開となりました。
また今回のライブではステージに”マイクロドローン”が新たに登場し、演者の間を自由自在に飛行。序盤から、普段見ることのできない斬新な視点の映像が、ドローンレーサー・”えりんぬ”こと中川絵梨さん、ドローンディレクター・船津宏樹さんのタッグによる巧みな操縦で、視聴者に届けられました。
そしてヴォーカル・稲葉浩志の「B’zのSHOWCASEにようこそ!」という定番の挨拶の後に披露されたのは、これまたタイアップシングル曲の「声明」。(53rd SG「声明 / Still Alive」 2017.06.14、「UCC BLACK無糖」TVCMソング)近年のライブでの”声明台”との演出とは異なり、ステージの真上に斜めに伸びるように組み立てられた大規模な鉄骨で支えられているLEDスクリーンのセットに複数の外国語での歌詞が表示される演出が行われ、同演出からは、直近での演奏楽曲に新しい見せ方を取り入れる、といった工夫も垣間見ることができました。
そこからバンドは「フキアレナサイ」(配信SG 2016.10.04、映画「疾風ロンド」主題歌)、「世界はあなたの色になる」(配信SG 2016.10.04 全国東宝系ロードショー「名探偵コナン 純黒の悪夢」主題歌)、「Still Alive」(53rd SG「声明 / Still Alive」 2017.06.14、TBS系 日曜劇場「A LIFE~愛しき人~」主題歌)、「マジェスティック」(21st AL『NEW LOVE』 2019.05.29、江崎グリコ「ポッキー」CM主題歌)「WOLF」(21st AL『NEW LOVE』 2019.05.29、フジテレビ系月曜9時ドラマ『SUITS/スーツ』、『SUITS/スーツ2』主題歌)など、珠玉のタイアップ付き人気曲を惜しげもなく披露。B’zがアーティストとしてのキャリアが十分に確立された2010年代にも従前と変わらぬハイクオリティな作品を生み出し続けていたことを痛感させる、豪華なセットリストによって、視聴者の目は終始ステージに釘付けとなりました。
『B’z SHOWCASE 2020 -5 ERAS 8820- Day5』のセットリストはこちら
また「マジェスティック」の演奏前にはバンドメンバーの紹介が行われ、メンバーそれぞれが、ツアーが終わってしまう寂寥の想いを吐露する場面も。続けて、ツアーで全曲(合計約80曲)を覚える大変さも話題に上り、ギター・松本孝弘は、打ち合わせ時に稲葉がこのアイデアを提案した場面について「”すげぇこと言ってるよ”って横で実は思ってたんだけど。でもこれさ、ここで水差せねぇよな、と思って。行くしかないんだなっていう決意を」と回想。企画立案当時に密かに感じていたことを、稲葉らバンドメンバーに初めて告白しました。
そして「WOLF」演奏後にステージ上部のスクリーンを用いて実施されたのが、「B’z LIVE演奏回数ランキング」を当てる企画。今回は同ランキングの第5位に入る楽曲を当てるミッションが各メンバーに課せられ、最終的にギター・松本孝弘が「裸足の女神」と回答し、見事正解を勝ち取りました。(直前に、ドラムス・田中一光も当初正答していたが、MC・稲葉浩志の執拗な確認によって回答を変更し、不正解になるというフランクなやり取りも見られています。)
息もつかせぬステージの中で、場を和ませるクイズ企画が登場した、と視聴者に思わせた矢先、突如稲葉浩志の「ライブでの演奏回数”0回”の曲をやりたいと思いますけども」といったMCの後に披露されたのは、初演奏の新曲「YES YES YES」。
社会風刺の効いた歌詞とハードなギターリフ、そしてそれをどこか中和するようなパーカッションの音色が痛快な一曲は、直前で告知された”この先のB’z”を予感させるものとして、ファンの元にフレッシュに届けられました。
その後は「RED」(52nd SG 2015.06.10)「有頂天」(51st SG 2015.01.14)と、近年のライブで新たなアンセムとして定着しつつある楽曲が続けて披露。「有頂天」の前には「コールアンドレスポンス」が行われ、バンドは和気藹々とした雰囲気で、画面越しに視聴者とエネルギーを交換しました。
そして同曲終了後、稲葉は、MCで真摯に言葉を紡ぎ、無観客ライブ『B’z SHOWCASE 2020 -5 ERAS 8820- Day1~5』全体について総括。(以下に全文を記載。)「この”SHOWCASE”、我々にとって、慣れない、初めての試みでしたけれど、本当に多くの皆さんの協力を得て、この最終日・”Day5”に辿り着くことができました。本当に感謝しています。ありがとうございます。準備期間も含めると1ヶ月以上ですけど、やっていく中で気付いたこともありまして、やっぱり一番大きいのは、無観客ライブっていうのは無観客じゃないんだな、っていうことに気付きました。なんか聞こえるんですよね、皆さんの声が。そして感じるわけですよ、皆さんの熱を。そんな中でやってたんで、ちっとも寂しくなかったです。そういう結論に達しました。”無観客ライブは無観客じゃない”。この経験が、B’zというバンドの今後の活動、それから作品にも良い影響をもたらしてくれると確信しております。そして三十数年やってるとですね、いろんなことがありますよね。でもそういった中で、本当にどんな時も、我々をくれたり、奮い立たせてくれたのは、やっぱり皆さんの声援です。今もですね、こういうちょっと、なんて言うんでしょう、息苦しいっていうか、窒息しそうなこの世の中の状況の中で、皆さんの存在を感じながら演奏できたことはですね、なんて言うんだろう、B’zっていうバンドが皆さんの愛情とか情熱でまた大きく呼吸させてもらったような、そんな感じがしています。このまま何にもしないでいたら、バンドだって窒息するわけですから、スタッフだって窒息するわけですよ。皆さんのお陰で大きく我々、息ができました。この”5 ERAS”という配信ライブ、皆さんが参加してくれたこと、本当に心の底から感謝しています。どうもありがとうございました。」と語り、同ライブを実際に行って自らが感じたことを赤裸々に述べ、また同時にファンやスタッフに、感謝の気持ちを伝えました。
そこから演奏されたのは、東日本大震災発災後に制作された楽曲「C’mon」(18th AL『C’mon』 2011.07.27)。同曲の歌詞はコロナ禍の世の中にも十二分に響き渡るものであり、あまりにもピュアで本質的な楽曲の性質は、約7年ぶりの披露で、”物事の深淵を真っ直ぐに見つめ、そこからメッセージを真っ直ぐに放つことができる「B’z」だからこそ、ここまで大勢のファンを支持を得て長年にわたって活動を続けられてきた”、という根本的な事実をも、リスナーに痛切に感じさせるものとなっていました。
そして同曲のバンドの一体感溢れる演奏が届けられた後、無観客配信ライブ全公演を締めくくるラストに披露されたのは、2019年に大正製薬「リポビタンD」ラグビー日本代表応援ソングとして異例のロングヒットを記録した楽曲、「兵、走る」(21st AL『NEW LOVE』 2019.05.29)。イントロの「エイエイオー」というシンガロングパートが始まると客席に「兵」と書かれた幕が掲げられ、またギターリフがスタートするとステージに大量の”花吹雪”が登場する、といった前年のライブツアーを彷彿とさせる華やかな演出の元、ステージではメンバーがそれぞれに躍動し、エモーショナルかつグルーヴィーなプレイで、「ゴールはここじゃない まだ終わりじゃない」と謳った”この先”に繋がるメッセージを、バンド一丸となって視聴者に届けました。
ライブ終了後は、稲葉がサポートメンバーを「本当に最高のメンバーでした」と改めて紹介。”Day5”出演の増田隆宣(Key.)、大賀好修(Gt.)、田中一光(Dr.)、徳永暁人(Ba.)のほか、別日に参加の黒瀬蛙一(Dr.)、満園庄太郎(Ba.)も登場し、最後はバンドメンバー全員で、恒例の挨拶「せーの、おつかれー!」を実施しました。
また最後には松本と稲葉がステージに残り、ライブに携わった人々について改めて言及。稲葉が「Zepp Hanedaのスタッフの皆さん、HANEDA INNOVATION CITYの皆さん、感染対策、検査も含め、医療スタッフの皆さん、細かい感染対策のルールを守りながら温かい食事を出してくれたケータリングの皆さん、細かいルールを守りながら最高のステージを作り上げてくれたスタッフの皆さん、本当に皆さん”プロフェッショナル”です、ありがとうございました、拍手!最高でした。」と語り、改めて感謝と尊敬の気持ちを伝えました。
その後稲葉は「またどういう形か分かりませんけども、我々もこういう経験をしたもんでまたちょっと活動の幅が広がったような気もしますけどもね」、松本は「無事に最終日をこうやって迎えることができて、本当に嬉しいです。テレビの前の皆さんもそうですけど、ここにいるスタッフの皆さん、本当にありがとうございました。」とコメント。稲葉が「皆さん是非また次、元気な顔で会いましょう。バイバイ!また会いましょう。」と語り、ライブを締めくくりました。
『B’z SHOWCASE 2020 -5 ERAS 8820- Day5』のセットリストはこちら
これでB’z初の無観客配信ライブ『B’z SHOWCASE 2020 -5 ERAS 8820- Day1~5』は無事全公演が終了。
未曽有のコロナ禍を駆け抜けた前人未到の挑戦は、B’zの二人の強い意志、そして多くの人々の熱い気持ちやかけがえのない縁によって実現し、混迷する世の中に紛れもなく光明を与えた、と言っても過言ではないでしょう。
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