各業界で活躍する人々が、B’zとどのようにして出会い、どのような接点を持ってきたのか。そのことについてスポットを当てたエッセイ企画、”B’zとわたし”が、『B’z 超まとめ速報』内でスタートした。
第2回は、映画監督・映像ディレクターの洞内広樹(ほらない ひろき)さんに原稿を担当していただく。(以下本文)
私がどれくらいB’zが好きかというと、こんなスマホケースを自作して使っているくらいには好きです。
20周年のPleasure 2008 “GLORY DAYS”のTシャツの背面プリントをスキャンして、それ以降のLIVE-GYMのロゴはせこせこ自分で追加しています。ほら、“5 ERAS”までちゃんと反映してるでしょ。
申し遅れました、映画監督/映像ディレクターの洞内 広樹(ほらない ひろき)です。
B’zのいち大ファンであり、「B’zのような姿勢でなにかをつくり続けていきたい」と強く願う、35歳の男であります。
1995/6/2(FRI) 19:59
確か、1995年6月2日(金)19時59分45秒だったかと思います。
生まれて10年、それまではごく一般的な男の子ルートで、“かっこいいもの”にシビレてきました。スーパー戦隊(ライブマン)、仮面ライダー(BLACK RX)、ウルトラマン(グレートとUSA)、ドラゴンボール(Z)、シルヴェスター・スタローン(『ロッキー4』)。聴く音楽も、それぞれの主題歌が主でした。自分が高揚し憧れる体験の瞬間を、聴覚から再現し再燃できる刺激─それが幼い自分にとっての音楽でした。
B’zに出会う直前に繰り返し聴いていたのは映画『ロッキー4』のサントラ。James Brownも入ってましたが、基本はSurvivor等を中心としたロックアルバムです。思えばB’zに出会う前から、ロックを聴く準備はできていたのかもしれません。
そして1995年6月2日(金)19時59分45秒。それまで見たことがなかった「ミュージック・ステーション」を、小学4年生だった僕はこの日偶然見ることになります。
その、放送開始直前。15秒のCM。
水を蹴り上げてロックを奏でる2人組に、私は釘付けになりました。
B’z 16枚目のシングル『ねがい』のTVCMです。
なんだこのかっこいい人たちと、かっこいい歌は。
直後に始まったMステは、B’z出演回でした。
この日を境に、僕はMステを毎週チェックするようになります。
好きな映像作品の世界に紐付いた曲ではなく、ヒットチャートから曲そのものを直接知るという、新たな音楽への導線を獲得した瞬間。
その扉を開けてくれたのが、そもそもB’zだったのです。
この頃のB’zは、ハイペースでしたね。『ねがい』でB’zに惚れた小4男子がさらにぶっ飛ぶようなニューシングル『love me, I love you』がすぐにやってきました。僕はついに、シングルCDを買ってもらいました。
真っ赤なジャケットの裏、細長い歌詞カードを見ながら母に「なんでフトンを噛むの?」「“期待過剰”って何?」「“おごらせてる”ってどういうこと?」と質問攻めしながら、聴き倒しました。
そして、歌詞の意味はよくわからないけど『love me, I love you』を全部歌えるようにはなった頃、伝説の『LOVE PHANTOM』が来ます。
ラジカセの前で目を閉じて、一日中聴きました。
この、LOOSE期のシングル3連コンボをモロに食らいました。
墜ちました。
この人たちの“カッコいい”には、限界がないのか??なんなんだ???
TVで『LOVE PHANTOM』が披露されたのは確か、Mステスペシャル。
“ファンが選ぶB’zで聴きたい曲TOP10”みたいなコーナーがあって、『ZERO』や『愛まま』等を抑え、発売直前の『LOVE PHANTOM』が1位だった記憶があります。
このTOP10コーナーの映像を、VHSが擦り切れるまで繰り返し見て、というか聴いていました。
1998年に『B’z The Best “Pleasure”』が発売されるまで、小学生の僕にとってはこのMステスペシャルの録画映像が、B’zのベストアルバムでした。
2003/9/20(SAT) 19:59
さすがにこっちの時刻は正確ではないと思いますが、だいたい合っていると思います。
あの日。豪雨の中、17:30予定から15分遅れて始まった公演。
『Typphoon No.15』の収録時間が約160分というのを考慮に入れると、たぶんこのくらいの時間だったはず。
Mステを録画したVHS、
ブロックバスタービデオで借りたシングルをダビングしたカセット、
そしてわりとボロボロになっちゃった、金ピカジャケットのCD。
ずっとずっと、複製メディアを通して聴き、感じていたB’zという存在とパワーの、正真正銘の“現物”を目の当たりにした日。
B’z LIVE-GYM The Final Pleasure “IT’S SHOWTIME!!” in 渚園。
僕が初めて参戦したLIVE-GYMは、15周年渚園の1日目、9月20日(土)でした。
すっごい雨。足元はぐっちゃぐちゃ。結構気に入ってたスニーカーは、もうダメだろうな。ステージはめちゃめちゃ遠い。眼鏡が濡れて、よく見えない。
でもそんなことは「いまおれは、同じ空間で、あの人達が直接鳴らした音を、体中に直接食らっている!」という興奮が、吹き飛ばしてくれました。
そういえば、ずっと大好きだったのに、なんでもっと早くLIVE-GYMに行かなかったのだろう。ああそういえば、僕はそのあと小6で出会った映画『タイタニック』に打ちのめされて、映画監督になろうと決めて、映画をつくることに夢中だったんだった。毎日とにかく、映画、映画、映画だった。B’zはもちろん聴いていた。当たり前だった。当たり前すぎて、思春期にも忙しくて、あの初めて見たたMステ直前CMの衝撃を忘れかけていた、高3の秋。夏休みの終わりにした直球の失恋を引きずって、2学期が始まってもわりと気力がなくなっていた頃。
2003年9月20日(土)19時59分、としておきましょう。
『Typhoon No.15』DVDでいうところの、2枚目ですね。
このセトリの心臓破り後半戦、『ultra soul』アウトロで定番の叫び、ウ・ル・ト・ラ・ソォオオオオオ…からの。
ノンストップで、『IT’S SHOWTIME!!』のイントロになだれ込む。
イカツいトレーラーがやってくるMVの映像に合わせて、CDの倍長い前フリイントロがスッと一瞬止む。
本イントロのギターと共に、宇宙を目指すロケットのような花火が、何本もあがる。豪雨に逆らうように真っ直ぐ上がっていき、ある高さで一気に四方にはじけるタイプのやつ。
あの瞬間僕は、生まれて初めてのタイプの涙を流しました。
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