「今年の新成人が生まれた頃のヒット曲はB’zのultra soul」ーそんなツイートが、Twitterで話題になっている。筆者がまとめた。
今年の新成人が生まれた頃のヒット曲はB’zのultra soul 2001年3月リリースから20年が経過
2021年の今年も成人の日を迎え、多くの新成人の門出が祝福された。
また同日・11日(月・祝)にはSNS上でも世間の人々から新成人に関する様々な声が投稿されたため、それらを目にした人は多いだろう。一方その中で、ひときわ拡散されたツイートがあった。
それが、冒頭の「今年の新成人が生まれた頃のヒット曲はB’zのultra soul」であるというツイートである。また厳密にはこの投稿者の方は、この内容がタイムラインに流れてきて”気を失っていた”としている。いったいこれは、どういう意味なのだろうか。
このツイートの主旨や、それが支持されている裏のコンテクスト(文脈)を読み解くと、つまり、「未だにフレッシュなイメージのB’zの”ultra soul”という楽曲が、新成人が生まれた年と同じ年にリリースされている=リリースからかなり時間の経過したものである(≒よって今の若者・新成人が知らない可能性もある)という事実に気付かされ驚愕した」という視点のツイートが多くの人々の共感を得た、ということになるのではないだろうか。
確かに、B’zの31枚目のシングル曲である「ultra soul」は、未だに多くの場面で耳にする人気曲であり、この楽曲が今から約20年前の2001年3月14日にリリースされたものであるとは、にわかに信じがたいだろう。
時の流れは確かに早いが、一方で、B’z「ultra soul」が徐々に世間に浸透してきた楽曲という側面もある
ちなみに念のために補足しておくと、成人の日前後にTwitterで、新成人が生まれた当時のヒット曲やカルチャーを思い起こさせ、日常ではなかなか気付くことのできない時間経過を発見させる主旨のツイートを見ることは、例年しばしばある。つまり、SNS上でフィーチャーされるのは決して、今回の「ultra soul」に限ったことではない、ということだ。
だがしかし、今回のケースには特異な面もある。実は「ultra soul」という楽曲は、B’zの中では決して圧倒的な、瞬発的なセールスを誇った楽曲ではないのだ。
「ultra soul」の売上枚数は約87.6万枚程度であり、この記録は、B’zの全シングル53作品の中では、第17位に留まっている。
しかし一方で、”B’zと言えばウルトラソウル”という世間の認識は、近年ますます高まるばかりだ。
(おそらくサビの掛け声のフレーズのキャッチーさや、楽曲のスポーツの場面での汎用性の高さなど、様々な要因が重なったことで、継続的な支持が生まれているのだろう。)
つまり、これらの事象を言い換えると、「ultra soul」は2001年当時の話題曲・大ヒット曲というわけではなく、リリースから時間をかけて徐々に世の中に浸透し、次第に国民的人気曲、B’zの代表曲へと成長していった、というわけである。
そういった意味において、”「ultra soul」リリースから20年が経過した”という事実に違和感を感じるということを分析すると、なおさら無理はない、という結論に至るのではないだろうか。
B’z松本孝弘「時間をかけて、20年かけて、”B’zといえば『ultra soul』”みたいなとこあるじゃないですか。それはすごく良いことだと思う。」
また、先日行われたB’zの配信ライブ『B’z SHOWCASE 2020 -5 ERAS 8820- Day1~5』開催時のインタビューで、ギター・松本孝弘とヴォーカル・稲葉浩志はこの「ultra soul」について、次のように語っている。
松本孝弘「時間を経てバンドの中での『ultra soul』の位置なんかも変わってきたよね。最初リリースした時確かに有難いことにヒットしたけども、その後ずっと世界水泳でも使っていただいたりとかして、とにかくその時にドカンと売れてB’zの代表作っていうんじゃなくて時間をかけて、20年かけて、”B’zといえば『ultra soul』”みたいなとこあるじゃないですか。それはすごく良いことだと思う。」
稲葉浩志「自分たちの作ったものが手を離れて勝手に成長していったっていう感じ。」
これらの発言からB’zの二人もまた、「ultra soul」の持つ意義をよく理解している、という様子が窺える。(かつて音楽番組『ミュージックステーション』出演時にも同じ主旨の発言をしたことがある。)
さて、いかがだっただろうか。
B’z「ultra soul」という楽曲には、実は世の中にあまり知られていない独自のストーリーが、確かにあったのである。
そして、このことを知ってから「今年の新成人が生まれた頃のヒット曲はB’zのultra soul」という事実に触れると、視点が少しばかり変わってくるのではないだろうか。
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