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【B’z サマソニ ライブレポート】 31年目のB’zが見せた『NEW LOVE』

B'z

2019年8月16日(金)。日本を台風10号が過ぎ去り、厳しい暑さの中にほんのかすかに涼しげな秋の匂いが感じられたこの日、僕は、今年20周年を迎えたロックフェスティバル「SUMMER SONIC 2019」を観に行くために、そしてとりわけ、「B’z」の“メモリアルな”ステージを観に行くために、東京会場・ZOZOマリンスタジアムへと向かった。

【B’z サマソニ ライブレポート】31年目のB’zが見せた「NEW LOVE」

ーB’zが日本人初のヘッドライナーとして「サマソニ」に出る。あのニュースを見てから約7ヶ月。ついにこの日がやってきた。
あの日以来、僕は気が気でなかった。31年目を迎えたB’zが、サポートメンバーを一新したB’zが、意欲的な内容を伴ったアルバム『NEW LOVE』をリリースしたB’zが、そしてそれを引っ提げるツアー「B’z LIVE-GYM 2019 -Whole Lotta NEW LOVE-」を展開したB’zが、20周年を迎えた「サマソニ」の栄えあるステージで、我々に一体どのようなメッセージを放つのだろう?と。

どのアーティストにも言えることだが、思うに、「フェス」に出ることには特別な意味があるのだろう。主催ライブとは異なり、オーディエンスの存在はある程度開かれており、この混沌とした音楽の時代において、「フェス」は「音楽マーケット」そのものにダイレクトにメッセージを訴えることができる貴重な機会だ。

また今回はそれに付け加えて、サマソニがB’zに”格別の待遇”を用意した。
ー20周年を迎えた集大成の「サマソニ」では日本人初のヘッドライナーを用意したい。
そうなった場合には、B’zしかいないだろう。ーそうサマソニ・クリエイティブマン社長の清水氏は決めていたという。

B’zにとっても、サマソニにとっても重要なこの機会におけるB’zのアクトは、その一挙手一投足があらゆる意味を包含したメッセージにー突き詰めて言うならば、日本の音楽シーン全体に向けたメッセージになり得る、僕にはそう思わざるを得なかった。
だからこの歴史的な一夜のすべてを目に焼き付けよう、そう誓ったのであった。

19時40分。ほぼ予定された時刻通りに、B’zが「MARINE STAGE」に登場した。
ZOZOマリンスタジアムを埋め尽くした約3万5千人余りのオーディエンスのボルテージは最高潮に達する。一新されたフレッシュな面々のサポートメンバーに次いで、シンプルに黒色のサマソニコラボTシャツを着用した松本と、赤色のシャツと白色のパンツ、そしてサングラスという派手な出で立ちの稲葉が、ロックスターたる堂々とした風格で、ステージに登場した。

ステージには赤い幕が垂れ下げられ、バンジョーのイントロが流れた。B’zが1曲目に用意したのは2015年6月にリリースしたシングル曲「RED」だ。
元メジャーリーガーの黒田博樹投手が古巣・広島東洋カープに電撃復帰した際に、登場曲として書き下ろした珠玉の1曲である。イントロのコーラスパートを、オーディエンスが拳を掲げながら力強く一緒に歌い上げる。冒頭から会場の雰囲気を一体化させたのは、さすがスタジアムロックの雄、B’zだからこそ為し得る業であった。また松本が奏でるギターサウンドは、近年アルバムレコーディングのインタビューで度々聞かれる「パワーコードだけで聴かせることができるサウンド」を見事にライブでも体現しており、凄まじい音圧でまず、ハードロックバンドとしての貫禄を会場全体に見せつけた。また稲葉は楽曲の最後に渾身のシャウトを披露し、現在54歳とは到底思えないヴォーカルのパワー、そして技術の高さを披露した。

会場の興奮が冷めやらぬ中、ドラムス、ブライアン・ティッシーが刻む骨太なビートに導かれ立て続けて演奏されたのは、2017年6月にリリースしたシングル曲「声明」だ。「この度私は変わります」とサビで高らかに宣言する同楽曲は、約30年のキャリアを経て発表したものとは思えないほどにチャレンジングなメッセージを放っている。そしてDeep Purpleなどを彷彿とさせる、同楽曲が持った自らのルーツとなるハードロックサウンドを、彼らは会場に堂々と響かせた。

あっと言う間に2曲が終了し、稲葉が「サマーソニックにようこそ」とマイクを取る。その後会場に轟いたのは、稲葉による“狼の雄叫び”であった。最新アルバム『NEW LOVE』に収録された「WOLF」の演奏の始まりである。妖艶な雰囲気のサウンドが魅力の当楽曲は、昨年フジテレビ系月9ドラマ『SUITS/スーツ』主題歌として起用され、話題となった。稲葉は、演奏中に表情やしぐさからも楽曲の世界観を表現しようとしており、ヴォーカリストとしての表現力、ステージングをオーディエンスにまざまざと見せつけた。そしてバンドはオーディエンス、そして日本の音楽シーンに、確かに「今のB’z」を刻み込むかのように、音の一粒一粒を大切にして演奏を続けていく。

「WOLF」のラストに稲葉に続きオーディエンスも”狼の雄叫び”を存分に轟かせた後、ステージサイドに小高い階段が用意されてから披露されたのは「トワニワカク」である。こちらも最新アルバム『NEW LOVE』収録曲だ。「老い」と「若さ」という人間の根本的な問題を、“純粋な気持ち”で切り取った歌詞の描写が印象的な当楽曲は、両サイドのスクリーンに会場で当日撮影された老若男女様々なオーディエンスの映像を映し出しながら披露された。このような何とも微笑ましい演出がステージの随所に用意されるのも、B’zが広く支持される所以の一つである。またギターソロでは松本が用意された階段の上に上り、バックのスクリーンに映し出された蒼い稲妻を受ける演出が施され、“ギターヒーロー・TAK MATSUMOTO”が強くフィーチャーされていたのが印象的だった。この楽曲もまた、B’zがルーツとした70年代洋楽ハードロックの要素を素直に取り入れており、あえてこの楽曲をサマソニのステージで披露した意味についてもまた、深く考えさせられた。

さらにその次に披露されたのは、2015年1月にリリースされたシングル曲「有頂天」である。新しいバンドメンバーで披露される「有頂天」は、原曲と比較してどこかラテン調の香りを放っているように感じられ、楽曲が元来持つハードな面と絶妙に交わりあって実に味わい深くなっていた。新しいメンバーが吹き込む新たな息吹が、ステージ上で続々と演奏される楽曲たちから次々に感じられる。
また先ほど用意された左右の階段とその背景のスクリーンを稲葉がワイドに使った演出は、シンプルでありながらも楽曲の世界観を増幅させることに成功しており、実に効果的であったと言えよう。

そして「有頂天」の後に会場全体に響いたのは、オーディエンスに深く馴染みのあるイントロだった。2001年3月にリリースされた大ヒットシングル曲「ultra soul」のそれである。オーディエンスに対して明確な「キャッチ」となり得る当楽曲を、ステージの冒頭でもラストでなく、中盤の流れの中で披露するというのは実に考え込まれた演出であろう。そしてこのセットリストメニューは、これまでに1000回以上の公演を積み重ねることで、B’zが培ってきた経験値と余裕の中でこそ初めて、採り得る選択肢なのだと痛感させられた。また、リリース以来演奏回数を重ねるごとに成長させてきた同楽曲の骨太でヘヴィな演奏は、モヒーニ・デイの間奏でのスラップ奏法が加わり、より華麗なものになっていた。オーディエンスは、弱冠23歳の女性ベーシストが堂々と、技巧的かつパワフルなベースプレイを披露したことに、さぞかし度肝を抜かれたことだろう。

「ultra soul」が終わると稲葉が再びMCを挟む。堂々としつつも謙虚な語り口で20周年を迎えたサマーソニックに対する祝辞と感謝を述べた後、“(静かな雰囲気が)いい感じなんで、このまま”と催促して披露されたのは、最新アルバム収録曲の「マジェスティック」だ。昨年から江崎グリコ「ポッキー」のCMソングに起用され、ファン内外に人気となった一曲であり、CMのストーリーにマッチした温かい歌詞と繊細なメロディが魅力的なバラード楽曲であると言えよう。冒頭からハードなサウンドの楽曲が続いていた中で披露された当楽曲では、オーディエンスが夏の夜のスタジアムに流れる静かな夜風に身を任せ、しっとりと楽曲に聴き入るという何とも愛おしい雰囲気に包まれた。そして「マジェスティック」披露時には、思わぬ“サプライズ”が起こった。外野席を埋め尽くしたオーディエンスを中心に、スマートフォンのライトを灯す演出が自発的に行われたのだ。楽曲が終わり、この演出に気付いた稲葉は「蛍かと思った」と語り、会場が一体となった思わぬ“サプライズ”にB’zの二人は嬉しげな表情を見せた。

そして”歌いたい人は歌ってください”と稲葉がオーディエンスに問いかけてから披露されたのは、1993年6月にリリースされたシングル曲「裸足の女神」である。リリースから26年余りが経過し、今や幅広い世代に支持されている当楽曲であるが、今回は2コーラス目までの“アコースティックアレンジ”を交えて披露された。シンプルでありながら繊細なメロディ、包み込むように温かい歌詞で構成されている楽曲であるだけに、アコースティックなサウンドとヴォーカルが心の奥底に染みわたる。このアレンジでまさに、「裸足の女神」という楽曲の持つポテンシャルを改めて見せつけられた印象だ。そしてギターソロから通常の演奏に戻り、松本のドリル奏法とラストサビが終わると、恒例の「Na Na Na…」というシンガロングパートに至る。会場全体がこのパートを口ずさみ、楽曲が持つ独特の優しい雰囲気に包まれると、今度は新しいメンバーによる精緻なコーラスワークが披露され、同楽曲の演奏は終了した。

続いてキーボード、サム・ポマンティのソロが始まる。彼の持ち味である電子的かつ空間的な音色が、B’zのステージに新しい色を加える。そしてそのまま演奏されたのは2009年8月リリースのシングル曲「イチブトゼンブ」だ。軽快な16ビートの同ミディアムロックチューンは、フジテレビ系月曜9時ドラマ『ブザー・ビート〜崖っぷちのヒーロー〜』の主題歌として起用され大ヒットを記録した。今でもなお幅広く親しまれる国民的人気ソングとなっており、B’zのライブでも今や定番曲となった楽曲である。認知度が高い故に、イントロの電子音が流れた瞬間から各所で歓声が上がり、同楽曲が放つ真夏の時期にふさわしい軽快なサウンドに対し、オーディエンスはそれぞれ思い思いに身体を揺らしていた。

そしてそのまま間髪入れずに演奏されたのは2017年6月に「声明」との両A面シングルとして発売された「Still Alive」だ。4つ打ちのビートかつ、デジタルテイストが加味されたサウンドでありながらも、「ハードロック」が基調の楽曲となっており、いわばまさにB’zが真骨頂としてきた類の楽曲であろう。イントロからオーディエンスはリズムに合わせて拳を天に力強く突き上げ、会場の熱量はここで再び最高潮に達した。この楽曲はライブでの盛り上がりに長けており、今後もさらにライブで頻繁に演奏される楽曲となり得るだろう。

そして「Still Alive」の演奏の後に設けられたのは、ドラムス、ブライアン・ティッシーのドラムソロのコーナーだった。胸の奥にズシンと響くパワフルなドラミングが、高速かつ技巧的に、創意工夫のもとに(スティックを複数宙に飛ばす演出が行われた)、そして惜しげもなく披露される。彼のこの瞬間に全てを懸けたような必死のドラミングは、会場に詰めかけたすべてのロックファンの心を鷲掴みにしたに違いない。そしてそのまま演奏は最新アルバム『NEW LOVE』収録曲「デウス」に流れ込む。スズキ「エスクード」のTVCMに起用された同楽曲は、サビのキャッチーさを持ちながらも、冒頭から何度も繰り返されるリフのヘヴィさを持ち合わせており、絶妙なバランスを兼ね備えた一曲だ。ライブでの演奏では、新しいバンドメンバーが生み出す”重く軽妙な”グルーヴが何とも心地良い。

心地良いグルーヴにうっとりと耳を傾けているとやがて「デウス」の演奏が終わり、再び稲葉のMCが行われる。稲葉はMCで、悪天候の中で会場設営に携わったスタッフへの感謝の気持ち、そして悪天候の中会場に駆け付けたファンへの感謝の気持ちを伝えた。会場には温かい拍手が響き渡る。彼らのこのような誠実で謙虚な振る舞いもまた、B’zが愛される大きな理由の一つである。

さて、MCの後に照明が落ち、会場に流れたのは松本の”泣きのギター”―『NEW LOVE』のリードチューン、「兵、走る」のイントロである。
大正製薬「リポビタンD」ラグビー日本代表応援ソングに起用され、昨年から度々テレビCMで放映されている同楽曲の存在は、ご存知の方も多かったことだろう。
そのままバンドはイントロの重厚なリフの演奏に移行した。稲葉は掛け声を高らかに歌い上げ、オーディエンスは拳を天に突き上げて声の限りに叫ぶ。この楽曲が持つ熱量が如実に可視化された、実に貴重な瞬間であったと言えるだろう。その後、息もつかせぬうちに楽曲はサビまで到達し、会場では歌詞にある”花吹雪”の演出が施された。野外に舞う花吹雪はあまりに美しく、B’zのステージが終わってしまうのを惜しむかのように延々と宙を舞っていたのが印象的だった。

「兵、走る」の演奏が終わると稲葉がオーディエンスに「気分はどうですか?」と問いかける。
「最高!」というレスポンスを得ると、稲葉は続けて松本に「Mr.TAK!」と呼び掛け、松本は愛用のミュージックマンで雄叫びを上げることで、これに呼応する。そしてバンド全体でドラムセット付近に集まってから披露されたのは、2000年7月にリリースされたシングル曲「juice」であった。B’zのライブでは欠かせない一曲となっており、熱い夏にふさわしいエネルギッシュなハードロックソングだ。ブライアン・ティッシーのヘヴィなドラミングが最大限に活かされた、魂を揺さぶる8ビートがなんとも心地良い。また演奏中には、メンバーがステージ上を流動的に動いて互いに絡み合う場面が見られ、その際にメンバーそれぞれに自然と浮んだ笑顔が、オーディエンスを得も言われぬ幸福感へと誘った。
そしてギターソロ後、テンポチェンジを経て繰り出されたのは、稲葉による熱量と技量を伴ったコールアンドレスポンスだった。序盤にはオーディエンスとの一体感を意識しながらも、最後には決して誰も真似することができないような高難易度のコールアンドレスポンスを実行する様子はもはやB’zの代名詞となりつつあるが、初見のオーディエンスはさぞかし驚いたはずだ。稲葉は、ある意味において”進行役”であり、”先生”であり、また”ヴォーカリスト”なのだろう。

そして最後に演奏されたのは1998年4月リリースのシングル曲「さまよえる蒼い弾丸」である。今やB’zにとってはライブ、フェスでは欠かせない一曲となっており、またリリース以来演奏回数を重ねるごとにアレンジが進化してきた楽曲の一つだ。シンプルなコード進行ながらサウンド、メロディ、歌詞それぞれが高いクオリティを誇っており、「大ヒットシングル曲」からこのような「ライブで盛り上がる定番シングル曲」まで、あらゆる性質の楽曲を複数持ち合わせているB’zの凄みを改めて感じさせられる。ちなみに今回は新しいバンドメンバーでの演奏により、原曲のテイストに戻った部分と、新しいアレンジが加わった部分双方が見られ、大変興味深かった。
YTの温かみのあるアコースティックサウンド、サム・ポマンティの冒頭に披露したイントロのコードを崩した新しいアレンジ、モヒーニ・デイのフィンガー・ピッキングによる歯切れのいいベースプレイによって、発売から20年以上が経過した同楽曲にも、確実に新しい風が吹き込んだと言えるだろう。
最後には稲葉がサビ終わりの箇所を渾身のシャウトで歌い上げ、スローテンポなアレンジによって「さまよえる蒼い弾丸」の演奏、そして全セットリストメニューの演奏が終了した。

全ての楽曲を演奏し終えたバンドメンバーが最後に横一列に並び、客席に一礼する。稲葉は「皆さんの愛情に包まれて、最高に幸せな真夏の夜を過ごせました。」とオーディエンスに改めて感謝の気持ちを述べた。
さらに加えて「また必ず会いましょう。」と言い残し、颯爽とステージを後にした。

そして、わずか1時間30分ほどの、B’zによる”真夏の夜のドリームステージ”はあっという間に幕を閉じた。気付けば夜はすっかり更けており、南東の空には美しい月が、B’zとサマソニのことを祝してくれるかのように煌々と光っていた。

さて、セットリストを振り返って見ると、驚くべき程に直近にリリースされたシングル曲と最新アルバム曲に比重が置かれていることがわかるだろう。あれだけのヒット曲を抱えていながらも、B’zは今回あくまで「今のB’z」を、「ありのままのB’z」を、見てもらおうと決断したのだ。オーディエンスに対して、そして音楽シーン全体に対して、「最新のB’zが最善のB’z」であり、「今の自分たちが奏でる熱いサウンドをとにかく聴いてくれ」と主張せんばかりの、エネルギッシュで勇気のある決断である。ではなぜこのような判断に至ったのだろうか?

ー僕が思うに、2017年、30周年を目前にしたB’zは、明確に何かを打ち破った。
”ハードロック”という音楽ジャンルが日本、世界の音楽シーンで勢いを失って久しく、また音楽コンテンツ自体のマーケットが縮小傾向にある最中、あらゆる意味で“古めかしい音楽”を自身のスタイルとしていたB’zは、大いに苦悩していたはずだ。
しかし彼らは、そんな時でも音楽に実直に向き合った。そして向き合っているうちに、ふとしたきっかけで自身が「THE ONLY SURVIVING HARD ROCK BAND IN JAPAN」であることを自覚した。そして”自分たちのスタイルを貫くこと”の大切さを、この時改めて覚知したのである。そこから彼らは、自らのことを「DINOSAUR」と呼び、同名のアルバムを発表した。そして同アルバムの中で、自らがスタイル・信条とする、まさに“恐竜の咆哮”のようなハードなロックサウンドを奏で、これを堂々と世の中に響き渡らせることで、”新旧”という概念を超越した存在へと昇華したのだ。

それから30周年のベスト選曲ツアーを経て“過去の自分達”を再度自らの体内に消化し、また公演でのアクシデントを伴う様々な困難を乗り越えることで、心身ともに一回り大きくなったB’zは、アニバーサリーイヤーをあえてそのまま通過し、連続的に31年目の活動へと突入した。

そして、奇しくも「令和」という新しい時代を迎えた本年5月にリリースしたアルバム『NEW LOVE』では、メンバーを一新して新しい気持ちで制作を行い、前作『DINOSAUR』を凌駕するほどの音楽への熱量とハードロックへの愛情がこもった楽曲陣を私たちに提示した。31年目にして史上初のシングル楽曲未収録アルバムでありながらも13曲ものボリュームを携えたこの意欲作は、この“CDの売れない時代”に、発売初週の売上が前作の売上を上回るという、実に4作品ぶりの快挙さえをももたらした。B’zの英断は、詰まる所決して間違っていなかったのである。そしてその活動の延長線上に本年、サマソニでの栄誉あるステージが用意されたのであった。ーB’zが「今のB’zを見てほしい」と思うのも、これまでの経緯を鑑みたら、ごく自然なことだと言えるだろう。

31年目のB’zがサマソニで見せた「NEW LOVE」は、甘く、ピュアで、いとおしく、なおかつ真っ直ぐで、研ぎ澄まされており、あまりにも美しかった。
”自分たちのスタイルを貫くことこそが正しい”と自覚したB’zは、以前にも増してピュアで熱いエネルギーをほとばしらせている。そして他の追随を許さない「圧倒的な存在」へと進化し、また観る者を強力に惹き付けてやまない。少なくとも僕はサマソニのステージで確かにそれを実感し、そして幸いにも”歴史の目撃者”となることができた。
今年のB’zサマソニのステージは間違いなくサマソニの歴史、否、日本の音楽史に深く、未来永劫に刻まれるに違いない。

そして迷うことなく、自分たちの愛すべき新しい音楽を創る旅に出たB’zは、今後も私たちに更なる胸いっぱいの愛を届けてくれるだろう。僕はそんなB’zの音楽の旅に、これからももっと居合わせたい。そしてできる限り、どこまでも付いていきたいと思う。

31年間たゆまず音楽活動に勤しみ、サマーソニックでの日本人初のヘッドライナーの舞台にたどり着いたB’zと、20年間にわたってより良いフェスティバルの姿を探求し続け、それを形にしてきたサマーソニックに敬意を表して。

written by はやみん(@hayamin_178)

コメント

  1. エバラヤスオ より:

    B´zのことをよく分析してると感じました。

    私もB´zのファンであり何度も助けられ元気付けられてきました。

    チャレンジ精神を忘れない、彼らをこれからも尊敬し共に人生を歩んでいきたいですね。

    改めて音楽って素晴らしいと思いました。

    ありがとうございました。

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