こんばんは。速水優希(@singingbird178)です。
まずは先日のLIVE DINOSAURへの参戦、誠にお疲れ様でした。
私は5回ほど(福岡と東京、大阪公演に)参戦させていただきました!
今回ライブを楽しみつつも、じっくり、そしてかなり細部にわたって稲葉さんを観察させていただきましたので、その結果をご報告させていただきたいと思います!
B’zの曲を歌われるときに是非参考にされてみてください!
B’z LIVE-GYM 2017-2018 “LIVE DINOSAUR”
01.声明
1番Aメロ~2番サビ
セット上段のセンターに登場。
演説台を模したセットでまさに国家の”声明”を発表するかの如く、
台に手をつきながらほぼ棒立ちで歌唱。
そのため歌声も珍しく”非アクティブな”ものに。
またこの楽曲自体が最高音がシャウトを除けばhiBまでで割と低いため、
特に閉鎖感も強くなく、終始落ち着いた声で歌っていた。
ちなみに曲としてはドラムとの拍の整合性(アタマの部分)を強調しながら歌うのがコツ。
Bメロの1番「声が」2番「また」の部分は原曲より早めに拍を取っている。
(昨年のSHOWCASEからこの形)
ラスサビ
ステージ下段に降りて体重を乗せた歌唱にシフト。
声もアクティブ感が増す。
ラスサビ前ブレイクの拍合わせはバンド全体で終始気にしていた模様。
この曲は実は歌としては「wake up」や「shine on」、
「燃え尽きてこそ始まる/輝く」の部分が喉の閉鎖を伴い難所なのだが、
ここも難なくクリアしていく。
ちなみに「こそ」の「こ」は「k」程度の発音に留めるのが稲葉式歌唱法での最適解らしい。
※母音の「o」が深く入るとそのあとの展開が苦しくなるため
ラスサビ終了後はhiDからmid2Eあたりで「Yeah~」という合いの手を入れて1曲目終了。
02.CHAMP
イントロ~Bメロ
イントロのリフ入り前に「Yeah」ないしは「Hi!」といった合いの手を入れて曲に入る。
Aメロ~Bメロはドラムとのリズムを合わせながら順調に歌い進める。
Bメロの最後「や/ろう」は拍の最後まで伸ばすことには固執せず「hi」等の掛け声にシフト。
サビ
サビ前のキメはバンド全体で合わせるところに留意しながら歌唱。
「I’m a champ」「I am a champ」の部分は、喉をしっかり固定してミドル成分強めの優しく鋭い発声に。
また大変興味深かったのが「信じるだけじゃ足りないから」の「から」の部分。
CD音源ならmidC#から一旦喉をリセットしてmid2Gに上昇していたのだが、今回のライブでは終始、midC#で喉を固定しながら連続した音でmid2Gまで上昇していた。
これも喉の裏返り等のリスクヘッジのためと思われる。
また、最後の「ぶっちぎる」は偶数回は観客に歌わせ盛り上げ効果とブレスの担保を同時に図っているようだった。
ラスサビの「励む~」の後にmid2Dから下降する「yeah」を挟む。
03.孤独のRunaway
頭サビ~1番サビ
約10年ぶりに演奏されたこの楽曲。
前回のGLORY DAYS時と比較しても若干発声が変わっている。
(また、もちろん初期音源と比べたら圧倒的に変わっている。)
この曲もシャウトを除けば最高音がhiAまでを見積もれば良いので、
まさしく今の稲葉さんの落ち着いた歌い方が適用されていて、
喉仏を低い位置にした発声に従事するスタイルで歌い切った。
この歌い方だと、例えばサビの「許されないのは」の「は」などはhiAにも関わらずほぼ置きに行くような感覚で負担なく歌い切ることができる。
また、ラスサビ前の導入でhiA~hiBの「yeah」が入る。
そして最後の「長居は無用さBaby」の「Baby」はhiD#あたりまで上げていた。
04.ハルカ
1番Aメロ
横ノリの曲ということと、かつhiAという絶妙な高さでマイルドなミドルボイスから入る曲であるため、歌い初めの音に留意していた印象。
サビ
「君ははるか」の「は(WA)」が頭の拍になるのでここにアクセントを合わせることに留意していた模様。(稲葉さんの動き自体も「は(WA)」に注力する動き方だった。)
2番Bメロ&3番Bメロ
「目が眩む」の「眩む」、「他にはいない」の「いない」をhiAの高さで歌唱。
※福岡公演あたりでは2番Bメロは原曲通りだった気がしますが記憶違いだったらごめんなさい。
アウトロ
「Yeah~Fooo~!」というキメのシャウトはほぼ原曲通り行う。
05.ルーフトップ
楽曲全体
楽曲全体がほとんど中音域で構成されている曲。
そのため近年の稲葉さんによく見られるマイルドなミドルボイスがふんだんに聴ける。
マイルドな閉鎖で問題ないため、稲葉さんの動きも終始マイクスタンドにほぼ直立「プチアキレス腱伸ばし」状態。
※アキレス腱伸ばしとは稲葉さんがたまに採る歌い方。後ほどPurple Pink Orangeで登場。
また、曲中のコーラス部分はバンド全体で力を入れた模様。稲葉さんも参加。
06.FIREBALL
1番・2番Bメロ
Bメロの終わり「何がある~~~/だろう~~~」の伸ばす部分は、
原曲はmid2CからGあたりまで上昇するのに対して今回はmid2Aまで「る」で下げてから上昇させていた。これは声が裏返るリスクヘッジであると思われる。
※「う」音で息が少なくなった状態で音階が上昇する際のリスク
サビ
サビ頭「魂」の「た」の音に今までの歌唱と明らかな違いが見られる。
キンキンした高音成分で突くイメージではなく、落ち着いた成分で押し出すようなイメージで発声。※途中の公演で若干過去の歌唱成分に戻したような節もありましたが
曲終了後
松本さんのギターとの掛け合い。
最後にエコーのエフェクトをかけながらシャウトを行う。(hiB♭からミドルボイスを引っ掛けて、トップの音=hiF#まで持ち上げるようなシャウト)
膝を地面につけ、身体を仰け反らせるようにシャウトをして、声の成分を最大限に効率化していた。
また、エコーとビブラートの周波数がマッチし一層聴きごたえのあるシャウトに昇華していたとも言える。
07.Don’t Leave Me
1番Aメロ~2番サビ
終始近年の稲葉さんが用いるマイルドなミドルボイスが反映された歌い方であると言える。
サビなどで若干鋭さが減ったが全体的にかなり安定した歌い方になっていた。
また2番終わりのシャウトは全く問題なくこなしていた。
サビ終わり
おなじみ「Don’t you leave me baby baby baby…」のシャウト。
今回は、babyの後にbaby連呼ではなく、2回目のbabyはhiGあたりで強めに出していた。
そのあとの「ぎゃぎゃぎゃ」シャウトはいつも通り。今回もハイクオリティなシャウトであった。
08.赤い河
楽曲全体
かなりレアな選曲であると言えよう。
この曲もどちらかというと中音域が多く含まれる楽曲である。
そのため佇まいは「ルーフトップ」のようにマイクスタンド+ほぼ直立。
94年の曲だがやはり現在の稲葉さんの歌い方が存分に反映されたと言えるだろう。
09.SKYROCKET
楽曲全体
この曲より花道のサイド部分が中央と接続され、ワイドに展開される。
会場全体の一体感を意識した楽曲。
歌い方は特に音源と変わってはいない。
2サビ前に「なぜー」というhiBあたりの掛け声あり。
※ZEROの「教えてくれー」のようなイメージ
「sha la la」パートのコールアンドレスポンスあり。
10.それでもやっぱり
楽曲全体
実はこの曲、キーは突出した部分を除けばmid2G#あたりまでを担保しておけばいいのでかなり低い曲なのだが、複合的な要因が相まってかなり歌いづらい曲である。
※サビで閉鎖的な発声になりやすい。
個人的にはこの楽曲、稲葉さんが公演途中で歌い方を変えたと考えている。
初期の方では音源通り(マイルドなミドルボイスでありながらかつ強めに発声する方法)
歌っていたのに対し、最後の方の公演ではそっと置きに行くような歌い方にシフトしていた。
このあたりの試行錯誤から、稲葉さんの歌に対する真摯な姿勢を改めて痛感している。
11.愛しき幽霊
楽曲全体
稲葉さん松本さんが花道のサイド部分で座って演奏する楽曲。
ちなみに会場ごとのフランチャイズ球団にちなんだ演出がなされた。
この曲は中音域が多用されており、実質的な喉の負担はほぼない曲と言える。
稲葉さんとしては中盤で少し回復できる局面ではないだろうか。
12.弱い男
楽曲全体
ライブでこの曲の存在感を改めて感じた人も多かったのではないだろうか。
観客の男性をカメラで抜く演出もあった。
歌い方としてはほぼ音源通り。
13.Purple Pink Orange
楽曲全体
この曲は少し根気のいる楽曲。
稲葉さんの佇まいが、前述の「アキレス腱伸ばし」になる。
実はこのアキレス腱伸ばし、きちんとした意味があるのだ。
切れ味鋭いミドルボイスを出したいときに役立つ。
マイクを斜め上に立てて、後ろの足でしっかり体重を固定。
最短距離で斜め上に発声する感覚で稲葉さんは発声していると思われる。
※SHOWCASE 2007 -19-収録のロンリースターズのようなイメージ
サビ頭は叩くようなイメージで強く発声するのがコツ。
特にラスサビは高いキーで伸ばす箇所があるのだが、ほとんどの公演で声が裏返ることもなく難なく乗り切っていた。
稲葉さんの歌唱技術の高さにはつくづく感銘を受ける。
14.イチブトゼンブ
楽曲全体
近年毎回演奏される定番曲。詳細は割愛する。
アレンジとしてはラスサビで伴奏のアレンジが変わっていた。
15.DIVE
楽曲全体
サビの「ラララ」パートはこれまで奇数分は稲葉さんが歌っていたが、ついに
全部の「ラララ」を観客に歌わせる仕様に。これでブレスの負担が大きく軽減される。
「こんなんじゃいやだもん」の「もん」はテンションの上がり具合によって、下がらずにhiGあたりに置いていた印象。
アレンジとしては、間奏部分でシェーンのツーバスメタルチックアレンジが施されていた。
16.Dinosaur
1番
実はこの曲にも稲葉さんの試行錯誤が見て取れる。
序盤の公演では、イントロに恐竜の咆哮のような「アオ~」というようなシャウトが入っていたのだが、最後の方の公演では「Yeah~~~~~」というmid2E♭~hiG#あたりのシャウトに差し変わっていた。
そしてなんとその恐竜シャウトがギターソロ前に移動していたのだ。
どこにどのシャウトを入れるか。稲葉さんは恐らくオーディエンスの反応を見ながら都度緻密な構成を練り直して、本番に臨んでいるのであろう。とにかく頭が下がる想いである。
またAメロの語尾はテンションの上がり具合でhiGあたりまで引き上げていた。
2番
友も減ったけどの「けど」がhiB# hiA mid2Gの旋律に変更。
翼かもの「かも」がmid2C#のシャウトに変更。
前述の通りギターソロ入り前に恐竜の咆哮あり。
Cメロ~ラスサビ
Cメロからラスサビはカウント等の補助なしで一発で入るアレンジ。
クリック等で合わせていたのだろうか?恐らくあのアレンジには本人たちの強いこだわりがありそうだ。
また、最後の「知らない」は、ブレスの関係上リスクヘッジされていた。
拍を遅らせて「知らない~~~~~」に突入する。
これは近年の「Liar!Liar!」のラスサビ「それでいい~」の入りアレンジと同じ。
伸ばす音はテンションの上がり具合でhiF#あたりまで上昇させるイメージ。
17.King Of The Street
楽曲全体
途中の公演から「I’m king of the street」というセリフを伴って楽曲が始まっていた。
歌い方はほぼ音源通り。
2番Aメロ「知事」の裏声部分は歌っていなかった。
タオル回しの演出を伴った楽曲。
18.フキアレナサイ
楽曲全体
ライブ全体で見るとかなりいいポジションに配置された楽曲。
ライブ映えする楽曲であることに驚いた人も多いのではないだろうか。
曲本編の歌い方はほぼ音源通り。
ただコールアンドレスポンスがかなり多めになされていた。
「Foo~」という裏声のこの楽曲のイメージに合った掛け声もあり、また松本さんも一部コールアンドレスポンスに参加していた。
コールアンドレスポンスの最後にmid2F#あたりからhiFあたりのイメージのシャウトを入れている。
19.Still Alive
楽曲全体
テレビ番組やROCK IN JAPAN等で演奏されているため詳細の説明は割愛する。
ただこの曲、実は稲葉さんとしては歌いやすい曲である。
中音域少し高めの稲葉さんが得意な音域が存分に使われている。
Bメロで素知らぬ顔でhiBなどの音程が出てくるのだが、これが近年の稲葉さんの特徴、
マイルドなミドルボイスが反映されている部分と言えよう。
イントロ本編突入前に「Yeah~here we go!」のシャウトあり。
ちなみに余談だが、銀テープの発射タイミングは私が確認した限り最低でも3パターンあった。(フキアレナサイイントロ→Still Aliveイントロ→Still Aliveサビ頭)
結果Still Aliveサビ頭で落ち着いている。
演出の試行錯誤も重ねられた跡が見受けられる。
20.ultra soul
1番Bメロ
毎回演奏される定番曲。詳細な説明は割愛する。
全体的にかなりマイルドな歌い方にシフトしている。
1番Bメロの「めない・メマイ」はmid2の高い方の旋律で歌唱。
※これをオクターブ上で歌うか下で歌うかは稲葉さんの気分次第なのだろうか?稲葉さんにしては珍しく、特に決めていないようで、今のところその都度ライブによって異なる。
21.BANZAI
楽曲全体
曲の冒頭で、「1,2、BANZAI」と曲名を言うのが今までにあまりない演出。
※スクリーンにも「BANZAI」の文字が
大きく歌い方の変更点はないが、
2番Bメロの「運命なんでしょうか」の「か」がhiBあたりまで跳ね上がっているくらいだろうか。
間奏部分に全員で万歳をする演出あり。
全体総括
今回LIVE DINOSAURに参加して思ったこと、それは、
「B’zファンでいてよかった」ということです。
松本さんのギターも、稲葉さんのヴォーカルも、なお進化し続けており、ここまでプロ意識の高いお二人のファンでいられることを心から誇りに思いました。
稲葉さんのヴォーカルだけを切り取ってみると、
2014年以降の歌い方を見るとこの4年分で一番完成された歌い方である気がしております。またさらに個人的な感想にはなりますが、2008年頃以来で見てもかなりパフォーマンスの良い時期が再度到来しているのではないかと思っております。
喉の閉鎖の度合いはあえて少なくしたベースを保っておきながら、マイルドなミドルボイスを多用し、喉への負担を軽減しているように感じられます。
稲葉さんが以前から仰せの「衰えるスピードを遅らせる」施策はまさに上手くいっていると言えそうです。
もはや、申し上げるならば「The only surviving hard rock vocalist in the world」と言えるでしょう。
稲葉さんのこと、本当に心から尊敬しております。
これからもお二人が元気に活動されることを心からお祈りして、今回の稲葉さん観察レポを終了させていただきます!ご覧いただき誠にありがとうございました。
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